木材と金属(ステンレス)を接着したいと考えたとき、「本当に外れないのはどれ?」「木工用ボンドや瞬間接着剤で大丈夫?」と迷った経験はありませんか。棚やフックの固定、DIYや補修作業では、一度外れてしまうとやり直しが効かない場面も多く、強度不足による脱落は避けたいところです。
本記事では、市販の接着7種類を実際に使用し、木材×金属(ステンレス)の接着強度を同一条件で測定・比較しました。あわせて、それぞれの接着剤の特性や、どんな用途に向いているのかも具体的に解説しています。この記事を読むことで「どの接着剤を選ぶべきか」が明確になります。
プライム市場上場企業で接着関連業務に長年携わっている筆者が、実際の検証データをもとにわかりやすく解説しているので、「木材と金属をとにかく強くくっつけたい」「失敗しない接着剤選びをしたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
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接着強度の測定方法
結果をご紹介する前に、今回の強度測定の方法について説明します。すぐに結果を見たい方は、下記のボタンからジャンプできます。
本検証では、ダイソーで販売されている工作材料の桐材とステンレス製フックを使用しました。各接着剤で木材とステンレスを接着し、24時間以上しっかり硬化させた後、フックを剥がすのに必要な力を測定しています。




今回使用した接着剤はいずれも高い接着力を持つため、引張方向(垂直に引き離す方向)で試験を行うと、接着面が剥がれる前に木材やフックそのものが破損してしまう可能性があります。そこで本記事では、接着剤同士の性能差をより正確に比較する目的で、せん断方向(接着面を横方向にずらす方向)に力を加えて接着強度を測定しました。
一般に、接着剤のせん断方向の強度は引張方向の約50〜70%程度といわれています。そのため、今回の測定結果は「この荷重で必ず剥がれる」という限界値を示すものではありません。引張方向に力がかかる使用条件では、今回の結果よりもさらに高い強度を発揮する可能性がある点にご注意ください。
また、接着強度は接着面積に比例して変化します。接着面積が2倍になれば、理論上は耐えられる荷重も2倍になります。そのため、適切な接着剤を選ぶ際は「どのくらいの面積で接着し、どの程度の荷重がかかるのか」をあらかじめ考えることが重要です。
例えば、10mm×10mm(100mm²)の面積で接着したフックに2kgの物を掛ける場合、必要な接着強度は2kg÷100mm²=0.02kg/mm²以上となります。
今回のテストで使用したサンプルの接着面積は128mm²です。本記事では、測定した破壊荷重を128mm²で割り、1mm²あたりの接着強度としても数値を算出しています。実際の接着面積や使用条件に当てはめながら、用途に合った接着剤を選ぶ際の目安として、ぜひ参考にしてください。
強度測定結果
強度を測定した接着剤をランキング形式でご紹介します。
第1位 Henkel「ロックタイト クイックミックス」

第1位はHenkel「ロックタイト クイックミックス」です。接着剤の色は透明、強度は40.32kg (0.315kg/mm²)です!


破壊強度は驚異の40kg超と、今回検証した中でも群を抜く結果となりました。他の接着剤を大きく引き離しており、木材とステンレスの接着を強度最優先で選ぶなら、最有力候補といえます。
「ロックタイト クイックミックス」は強力な接着力に加え、耐水性・耐候性にも優れているのが特長です。水回りや屋外といった過酷な環境でも使用でき、接着剤の色が透明なため外観を損ねにくい点も魅力です。
2液混合タイプのエポキシ接着剤は、計量や混合の手間がデメリットになりがちですが、本製品は専用ノズルから押し出すだけで内部で自動的に混合されます。そのため、面倒な作業が不要で、誰でも安定した性能を引き出せます。
一方で注意点もあります。専用ノズルは使い捨て仕様で、製品に付属するのは2本のみです。3回目以降は別途ノズルを購入する必要があるため、少量を高頻度で使う用途にはやや不向きといえるでしょう。なお、ノズルを追加で購入したい方向けに、替えノズルのリンクも本記事内に掲載していますので、必要に応じて参考にしてください。
圧倒的な接着力に加え、水回りや屋外にも対応できる汎用性、透明で仕上がりを損ねない外観性能を備えた、非常に優秀な接着剤です。少量を頻繁に使用する場合を除けば、まず最初に検討したい一本といえます。
第2位 セメダイン「スーパーXゴールド」

第2位はセメダイン「スーパーXゴールド」です。接着剤の色は透明、強度は23.82kg (0.186kg/mm²)です!


第2位という結果でしたが、破壊強度は20kg以上で第3位以下の接着剤と比べて明らかに高い強度を示しました。木材とステンレスの接着において、実用強度を重視するなら十分に有力な選択肢といえます。「スーパーXゴールド」は混合不要の一液タイプのため、計量や混合の手間がなく、専用ノズルも不要です。
作業性が高く、DIYや補修作業でも扱いやすい点は大きなメリットといえるでしょう。また、硬化後は透明で、耐水性にも優れているため、外観を損ねたくない場所や水回りでの使用にも対応できます。強度・作業のしやすさ・使用シーンの幅広さをバランスよく重視したい場合、非常に選びやすい接着剤です。
混合不要で扱いやすく、20kg以上の高い接着強度を発揮します。透明で外観を損なわず、水回りにも使用できる、バランスの取れた優秀な接着剤です。
第3位 コニシ「ボンド ウルトラ多用途SU」

第3位はコニシ「ボンド ウルトラ多用途SU」です。接着剤の色は透明、強度は14.34kg (0.112kg/mm²)です!


第3位となったコニシ「ボンド ウルトラ多用途SU」は、破壊強度14kgという結果でした。上位2製品と比べると強度面では一歩及ばないものの、棚や小物の固定など日常的な用途であれば十分な接着力を発揮しています。
本製品は混合不要の一液タイプで扱いやすく、硬化後は透明、さらに耐水性にも対応しているため、使用できるシーンは幅広い接着剤です。作業性や見た目を重視する点では評価できます。
ただし、同じく一液タイプで透明・耐水性を備え、なおかつ接着強度が明確に上回る第2位の「スーパーXゴールド」が存在します。純粋に木材×ステンレスの接着強度を基準に選ぶのであれば、「スーパーXゴールド」を選択するほうが合理的といえるでしょう。
扱いやすく、透明で水回りにも使用可能な万能タイプの接着剤です。ただし、同条件でより高い強度を求めるなら「スーパーXゴールド」が優先候補になります。
第4位 東亜合成「アロンアルフア201」

第4位は東亜合成「アロンアルフア201」です。接着剤の色は透明、強度は11.95kg (0.093kg/mm²)です!


第4位となった東亞合成「アロンアルフア201」は、破壊強度約12kgという結果でした。上位の弾性接着剤やエポキシ系と比べると強度はやや劣るものの、日常的な固定や軽〜中荷重の用途であれば十分な接着力といえます。
本製品は、以下記事で行った瞬間接着剤の強度比較試験において最も高い結果を示した接着剤でもあります。
瞬間接着剤のため混合の手間は不要、色は透明、さらに約30分で慎重に扱える実用強度に達するなど、作業性の高さは大きな魅力です。また、2g×5本の小分けタイプのため、「中身が残っているのにノズル先端が固まって使えなくなる」といった瞬間接着剤あるあるを防げる点も実用面で優れています。
一方で、瞬間接着剤の特性上、水分や湿気には弱く、水回りや屋外での使用には不向きです。耐水性が求められる条件では、上位にランクインした接着剤を選ぶほうが安心でしょう。
作業性が高く、瞬間接着剤の中ではトップクラスの強度を持つ製品です。強度はそこそこで十分、かつ水回りで使用しない条件であれば、有力な選択肢となる接着剤といえます。
第5位 コニシ「アロンアルフア EXTRA 速効多用途」

第5位はコニシ「アロンアルフア EXTRA 速効多用途」です。接着剤の色は透明、強度は11.90kg (0.093kg/mm²)です!パッケージ上のメーカーはコニシですが、これは家庭用「アロンアルフア」シリーズの販売をコニシが担当しているからで、実際の製造元は第4位の「アロンアルフア201」と同じ東亜合成です。


第5位となったコニシ「アロンアルフア EXTRA 速効多用途」は、破壊強度が第4位の「アロンアルフア201」とほぼ同等という結果でした。順位こそ一つ下ですが、強度面で大きな差があるわけではありません。
本製品も瞬間接着剤のため、混合不要で手軽に使えるのが特長です。色は透明で、約30分ほどで慎重に扱える実用強度に達する点も「アロンアルフア201」と共通しています。一方で、瞬間接着剤特有の性質として耐水性はないため、水回りでの使用には不向きです。
「アロンアルフア201」と大きく異なるのは内容量と価格です。本製品は2gの少量タイプで、価格は400円前後と比較的安価。そのため、「少しだけ接着できれば十分」「できるだけコストを抑えたい」といった用途に向いています。
性能面は基本的に第4位の「アロンアルフア201」と同等です。使用量が少なく、価格を重視したい方に適した瞬間接着剤といえるでしょう。
第6位 セメダイン「EP001N」

第6位はセメダイン「EP001N」です。接着剤の色は薄いクリーム色、強度は11.25kg (0.088kg/mm²)です!


第6位となったセメダイン「EP001N」は、ステンレス同士の接着では非常に高い強度を発揮した実績のある接着剤です。(ステンレス同士の接着強度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。)
その実績から、今回の木材×ステンレスの組み合わせでも高い接着強度を期待しましたが、結果は想定ほど伸びませんでした。公式サイトには「プラスチックやステンレス、アルミの接着に最適」と書かれており、木材は主用途として想定されていないことからも、今回の結果は妥当といえるでしょう。
本製品はエポキシ系接着剤のため耐水性には優れていますが、2液混合タイプで計量・混合の手間がかかる、硬化後の接着剤に色が付いているため外観を損ねやすい、といった点から木材とステンレスを接着する用途では扱いにくさが目立ちます。
耐水性に優れたエポキシ接着剤を選びたい場合は、混合不要で透明、かつ圧倒的な強度を発揮した第1位の「ロックタイト クイックミックス」のほうが、作業性・仕上がり・強度の面で明らかに優れています。
ステンレスには非常に強いものの、木材との接着には不向きです。木材×ステンレス用途でエポキシ接着剤を選ぶなら、「ロックタイト クイックミックス」を選ぶほうが合理的といえるでしょう。
第7位 Henkel「ロックタイト 木工用強力接着剤 速乾」

第7位はHenkel「ロックタイト 木工用強力接着剤 速乾」です。接着剤の色は薄い白色、強度は6.23kg (0.049kg/mm²)です!


第7位となったHenkel「ロックタイト 木工用強力接着剤 速乾」は、木工用接着剤の中では最も高い接着強度を発揮した製品です。(木工用接着剤の接着強度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。)
木材同士の接着では非常に優秀な結果を示しましたが、木材×金属(ステンレス)という異種素材の組み合わせでは、接着強度は伸びませんでした。これは木工用接着剤の特性によるものです。木工用接着剤は、木材に染み込み、乾燥・硬化することで物理的に噛み合い、強度を発揮するタイプの接着剤です。
そのため、表面が平滑で接着剤が染み込まない金属とは、構造的に相性が良くありません。この結果からも、木材と金属を強力に接着したい用途では、木工用接着剤は選択肢から外すべきといえるでしょう。異種材料の接着には、上位にランクインした接着剤を選ぶほうが確実です。
木材に対しては非常に高い接着強度を発揮しますが、金属との接着には不向きです。木材×金属(ステンレス)を強力に接着したい場合は、上位の接着剤を選ぶことをおすすめします。
まとめ
本記事では、市販されている接着剤7種類を使用し、木材と金属(ステンレス)を接着した際の接着強度を同一条件で比較検証しました。
その結果、最も高い接着強度を示したのは「ロックタイト クイックミックス」でした。40kgを超える破壊強度を記録し、耐水性・耐候性にも優れているため、強度を最優先する用途や水回り・屋外での使用に最適な接着剤です。
手間をかけずに、確実に接着したい方には、「スーパーXゴールド」や「ボンド ウルトラ多用途SU」も有力な選択肢です。混合不要で扱いやすく、それでいて日常用途であれば十分な接着強度を発揮しました。
「アロンアルフア201」や「アロンアルフア EXTRA 速効多用途」といった瞬間接着剤は、短時間で実用強度に達する点が大きなメリットです。一方で耐水性がないため、水回りや屋外での使用には不向きという点には注意が必要です。
また、「ロックタイト 木工用強力接着剤 速乾」などの木工用接着剤は、木材同士では非常に強力ですが、金属との異種接合には構造的に不向きであり、木材×金属用途ではおすすめできません。
最後に、今回の検証結果を一覧表にまとめました。「どの接着剤を選べばよいか」を素早く判断したい方は、ぜひ参考にしてください。











