ステンレスなどの金属を接着しようとして、「本当にくっつくの?」「すぐ剥がれない?」と不安になったことはありませんか。金属は表面が硬く、接着が難しい素材のひとつです。そのため、接着剤選びを間違えると、見た目はくっついていても簡単に剥がれてしまうことがあります。
この記事では、金属(ステンレス)に対応した接着剤7種類を実際に使用し、同一条件で接着強度を比較検証しました。実測データをもとに、「どの接着剤が一番強いのか」「用途別にどれを選べば失敗しないのか」を分かりやすく解説します。
筆者は、プライム市場上場企業で接着関連の業務に長年携わってきました。その経験と実験結果をもとに、家庭でのDIYから実用的な補修まで安心して使える接着剤選びをサポートします。ステンレスの接着で失敗したくない方は、ぜひ最後までご覧ください。
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接着強度の測定方法
結果をご紹介する前に、今回の強度測定の方法について説明します。すぐに結果を見たい方は、下記のボタンからジャンプできます。
今回はダイソーで販売されているステンレス製のフックとL字金具を使用しました。各接着剤で接着後、24時間以上(ただしロックタイト メガパワーマルチのみ5日以上)硬化させ、フックを剥がすのに必要な力(せん断方向=横にずらす方向)を測定しています。




今回検証した接着剤はいずれも非常に強力なため、引張方向(垂直に引き離す方向)で試験を行うと、接着面が剥がれる前にフック側が破損してしまう可能性があります。そこで本記事では、接着剤同士の性能差をより正確に比較するため、せん断方向(接着面を横にずらす方向)に力を加えて接着強度を測定しました。
一般に接着剤のせん断方向の強度は引張方向の50〜70%程度といわれています。そのため、今回の数値は「この荷重で必ず剥がれる」という限界値を示すものではありません。引張方向に力がかかる使用条件では今回の結果よりも高い強度を発揮する場合がある点にご注意ください。
また、接着強度は接着面積に比例して増加します。接着面積が2倍になれば、理論上は耐えられる荷重も2倍になります。適切な接着剤を選ぶためには「どのくらいの面積で接着し、どの程度の荷重がかかるのか」を考えることが重要です。例えば10mm × 10mm(100mm²)の面積で接着したフックに2kgの物を掛ける場合、必要な接着強度は2kg ÷ 100mm² = 0.02kg/mm²以上となります。
今回のテストで使用したサンプルの接着面積は128mm²です。そのため、本記事では破壊荷重を128mm²で割った1mm²あたりの接着強度も算出しています。実際の接着面積や使用条件に当てはめながら、自分の用途に合った接着剤を選ぶ際の目安として、ぜひ参考にしてください。
強度測定結果
強度を測定した接着剤をランキング形式でご紹介します。
第1位 セメダイン「EP001N」

第1位はセメダイン「EP001N」です。接着剤の色は薄いクリーム色、強度は17.26kg (0.135kg/mm²)です!


今回の検証では、破壊強度17kg超と比較した接着剤の中で最も高い接着強度を記録しました。ステンレスに対して強度重視で選ぶなら最有力といえます。「EP001N」は強力なだけでなく、耐水性にも優れているのが特長で、水回りや湿気の多い環境でも使用できます。
一方で、硬化後の接着剤は薄いクリーム色になるため、仕上がりを重視する用途では注意が必要です。また、2液を混合して使用するタイプのため、瞬間接着剤等などと比べると準備や作業にやや手間がかかる点もデメリットといえるでしょう。
とにかく高い接着強度を求める方や、水回りでの使用を想定している方に最適な接着剤です。色付きである点や、2液混合の手間を許容できるのであれば、最も信頼できる1本といえます。
第2位 東亜合成「アロンアルフア201」

第2位は東亜合成「アロンアルフア201」です。接着剤の色は透明、強度は15.30kg (0.120kg/mm²)です!


第2位とはいえ、今回の検証では破壊強度15kg超を記録しており、ステンレスに対して非常に強力な接着性能を発揮しました。「アロンアルフア201」は、別記事で行った瞬間接着剤の強度比較において最も高い結果を示した接着剤でもあります。瞬間接着剤としての強度が気になる方は、以下の記事も参考にしてください。
強力に接着できるだけでなく、「EP001N」のような2液混合の手間が不要で、硬化後は透明に仕上がるため、作業性と見た目の両立がしやすいのも大きな特長です。一方で、水や湿気には弱いため、水回りでの使用には不向きという点には注意が必要です。
手軽に強力な接着を行いたい方や、仕上がりの透明感を重視する方におすすめの接着剤です。水回りでの使用を避ける用途であれば、強度と扱いやすさのバランスに優れた1本といえるでしょう。
第3位 コニシ「アロンアルフア EXTRA 速効多用途」

第3位はコニシ「アロンアルフア EXTRA 速効多用途」です。接着剤の色は透明、強度は11.04kg (0.086kg/mm²)です!パッケージ上のメーカーはコニシですが、家庭用「アロンアルフア」シリーズはコニシが販売を担当しており、実際の製造元は第2位の「アロンアルフア201」と同じ東亜合成です。


今回の検証では破壊強度11kg超を記録しており、第1位・第2位と比べると数値上はやや劣るものの、日常的な使用であれば十分な接着強度を発揮しました。瞬間接着剤のため2液混合の手間が不要で、硬化後は透明に仕上がります。一方で、水や湿気に弱いという点は、第2位の「アロンアルフア201」と共通する特性です。
強度を最優先する場合は「アロンアルフア201」のほうが適していますが、「アロンアルフア EXTRA 速効多用途」は内容量が2gと少量な分、価格は400円前後と比較的安価です。そのため、「少量しか使わない」「コストをできるだけ抑えたい」といった用途に向いています。
少量で十分な方、手軽かつ低コストで使いたい方におすすめの瞬間接着剤です。水回りでの使用を避け、透明な仕上がりと扱いやすさを重視する場合には、コストパフォーマンスの高い選択肢といえるでしょう。
第4位 コニシ「ボンド ウルトラ多用途SU」

第4位はコニシ「ボンド ウルトラ多用途SU」です。接着剤の色は透明、強度は10.87kg (0.085kg/mm²)です!


今回の検証では破壊強度は11kg弱と、上位製品には及ばないものの、日常的な使用であれば十分な接着強度を発揮しました。
「ボンド ウルトラ多用途SU」は混合不要の一液タイプで、硬化後は透明、さらに耐水性にも優れているのが大きな特徴です。そのため、作業の手間を抑えつつ、見た目を損なわず、水回りでも使用できる接着剤を探している方に向いています。強度最優先というよりも、使いやすさと汎用性を重視したい場合に選びやすい接着剤といえるでしょう。
手軽さ・透明仕上げ・耐水性を重視して使いたい方におすすめの接着剤です。
第5位 Henkel「ロックタイト ノー・モア・ネイル」

第5位は Henkel「ロックタイト ノー・モア・ネイル」です。接着剤の色は白色、強度は10.08kg (0.079kg/mm²)です!


破壊強度は約10kgと、上位の接着剤と比べると数値上は控えめですが、日常用途や常時大きな荷重がかからない場面であれば十分な接着強度を発揮しました。
「ロックタイト ノー・モア・ネイル」の大きな特徴は、非常に粘度が高いことです。そのため、凹凸のある面や隙間が空いている箇所でも安定した仕上がりが期待できます。さらに、耐水性・耐UV性・耐衝撃性に優れており、屋外環境でも使用できる点は大きなメリットです。混合不要の一液タイプで作業性も良好ですが、硬化後の接着剤が白色になるため、仕上がりの見た目を重視する場合は注意が必要です。
手軽にそこそこの強度で接着したい方、凹凸面や隙間のある箇所を接着したい方、水回りや屋外で使用したい方、接着剤の色を気にしない方におすすめの接着剤です。
第6位 セメダイン「スーパーXゴールド」

第6位は セメダイン「スーパーXゴールド」です。接着剤の色は透明、強度は9.20kg (0.072kg/mm²)です!


破壊強度は約9kgと、今回比較した接着剤の中では高い数値ではありませんが、装飾品や軽量物の固定など、重量物を引っ掛けない用途であれば実用上問題ない接着強度を発揮しました。
スーパーXゴールドは、混合不要の一液タイプで、透明・耐水性に優れている点が大きな特徴です。ただし、同じく一液タイプで透明かつ耐水性を備え、なおかつ接着強度が上回る第4位「ボンド ウルトラ多用途SU」が存在するため、ステンレスの接着のみを目的とする場合は、そちらを選んだほうが良いと言えます。
一方で、スーパーXゴールドの真価は別の点にあります。専用プライマー「プライマーPP7F」と併用することで、難接着素材であるポリプロピレン(PP)を強力に接着できます。ステンレスとPPなど、異素材を含む接着を想定している場合には、有力な選択肢となります。(ポリプロピレン向け接着剤の比較結果は、下記記事をご覧ください)
ポリプロピレンを強力に接着できて、ステンレスもそこそこの強度で接着したい方、手軽に作業したい方、水回りで使用したい方、透明な接着剤を求める方におすすめの接着剤です。
第7位 Henkel「ロックタイト メガパワーマルチ」

第7位は Henkel「ロックタイト メガパワーマルチ」です。接着剤の色はアイボリー、強度は5.16kg (0.040kg/mm²)です!


破壊強度は約5kgと、今回比較した接着剤の中では最も低い結果となりました。重量物を支える用途には向かず、接着強度を重視する場合は物足りなさが残ります。一方で、本製品は混合不要の一液タイプで、粘度が高く凸凹のある面や多少の隙間にも塗布しやすいという扱いやすさがあります。さらに、耐水性・耐衝撃性を備えており、水回りや屋外で使用できる点も特徴です。
ただし、同じく一液タイプで屋外・水回りに対応し、より高い接着強度を発揮する第5位「ロックタイト ノー・モア・ネイル」が存在するため、あえて本製品を選ぶ理由は少ないと言わざるを得ません。
まとめ
今回は、7種類の接着剤でステンレス同士を接着した際の破壊強度を比較しました。とにかく高い接着強度を求める場合は、2液混合タイプの「EP001N」が最も適しています。手間はかかりますが、強度と耐水性を最優先する用途では最有力の選択肢です。
一方で、手軽さと強度のバランスを重視する場合は、瞬間接着剤の「アロンアルフア201」が有力です。混合不要で透明に仕上がるため、見た目を重視する接着にも適しています。
また、水回りや屋外での使用、多少の凹凸や隙間への追従性を重視する場合は、「ボンド ウルトラ多用途SU」や「ロックタイト ノー・モア・ネイル」といった一液タイプの多用途接着剤が向いています。ただし、接着強度は上位製品より控えめな点には注意が必要です。
以上のことから分かるように、「どれが一番強いか」だけで選ぶと用途によっては使いにくくなることもあります。使用環境・求める強度・仕上がり・作業の手軽さを考慮して選ぶことが、失敗しない接着につながります。以下に、今回のステンレス向け接着剤の比較結果を一覧表にまとめました。用途に合った接着剤選びの参考として、ぜひご活用ください。











